ベルバトフ・デイリーメイル紙インタビュー(2)

インタビュー(1)の続きです。
原文はこちら
めちゃくちゃ長いインタビューなので、数日に分けます。

あの頃は貧しかったけれど・・・(私が勝手につけた見出しです)

夏にバイヤー・レバークーゼンから移籍したこの素晴らしく天才的なゴールゲッターに、トッテナムは1,100万ポンドをも費やしたとみられている。だが、この金額の価値がどういうものなのかを理解している選手は、プレミア・シップには他にいないだろう。*1


現在25歳の彼は、共産主義が崩壊していくさなかに成長し、過去と現在両方の不確かさの中を生きてきた世代だ。パンを求めて行列し、17歳で地元クラブのピリン・ブラゴエフグラッドを離れてCSKAソフィアに移籍してみれば、寮では5人の選手たちとの共同生活。彼の性格が、その不確かな時代によって形成されたとしても、不思議はない。


ブルガリア代表チームの奴らは、みんな似たようなものさ。僕らは忘れやしない。自分たちがどこから来たのかを。あの頃はよく皆で話し込んだものさ」


「CSKAにいた頃を思い出すよ。ソフィア出身の者もよそから来た者も皆同じように寮に住んで、金がなくて、食べる物もろくになくて。苦しかったけど、僕らは分け合ったんだ」


「運命の糸車というのは常に回り続けているんだってことを忘れないようにしてる。へたに加速させようとすれば(彼は手振りで説明してみせた)何もかも失う場合もあるんだ」


「僕らは笑い合って、冗談を言い合って・・・でも辛かった。僕は家を出て文無しだった。誰も金を与えちゃくれなかった。家族は金をくれたけど、僕は無給でプレーしていた。おそらくトップチームにいれば、少しは給料を貰えていただろうけど」


「だけどそんなことは気にも留めなかったよ。無邪気な若者は、富より名声を追い求めるものなのさ。ガキだった頃は、がむしゃらに好きだったクラブのために、プレーする覚悟を決めていた」


「大人になれば別の価値観が生まれる。現実を見なくちゃならない。だけど時々考えてしまうんだ。アマチュアだった頃の方が良かったんじゃないかとね。ただ喜びのためにプレーしてたから。金なんていらない、たぶんそれがベターなんだよ」



イバン、大いなる父の愛(私が勝手(以下略))

彼の父イバンはCSKAで初めはレフトウィングとして、後にはディフェンダーとしてプレーしていたが、状況はアマチュアと似たようなものだった。


「僕と弟は幸せな少年時代を送ったよ。スポーツ一家に生まれたんだ。父はサッカー選手、母はハンドボールの選手だった。僕にとって父は最高の人なんだ」


「成長過程において、父は良き教師だった。彼は僕にすべてを教えてくれた。どうプレーするか、どうゴールするか、どうボールを止めるか、どうパスを出すか。いまだになんやかんやと僕らは話し合っているんだけどね」


「試合があると、僕が父に、または父が僕に電話する。僕の試合について感想を伝えてくれるんだ。何が良かったか、何を改善しなくてはいけないか、ってね。そして次はもっと良いプレーをしてやろうと思うんだ」


「父はプロのサッカー選手だった。その息子であることが、僕の誇りなんだ。彼は頭を使うプレーヤーだった。僕はそういうのが好みなんだ。だけど当時は、ブルガリアで稼ぐことなんて出来なかった」


「プロの選手だって毎朝6時に起きてパンのために並ばなければならなかったんだ。行列が2Kmにも及ぶこともあった。時々は家族で交代して並んだものさ。7,8歳の頃には僕も行列に並んだのを覚えている。だがその経験から学んだよ。そして、父と母が僕らのために全てを投げ出し尽くしてくれたことを、僕は知っている。だから今、彼らに恩返ししようとしてるんだ」


人生の快楽が息子を誘惑しようとする時、父は彼をサッカーに集中させようとしていた。
悪魔のように素敵な―ブルガリアでのニックネームは「天使の顔の悪魔」―彼は、ガールフレンドやディスコの魅力をよくわかっていた。


父が息子に品行方正な暮らしをさせ続けようとするのは、たやすいことだっただろうか?
「苦労しただろうね」彼は微笑みながら言った。
「そうさ、だって19か20歳の頃の生活なんて、わかっているでしょ。何でもやってみたい盛りなんだよ。ディスコへ行ったり女の子とデートしたり、考えることといったらそんなのばかり」


「ある時試合の前の夜、僕は朝の4時に帰宅した。僕は飲んじゃいなかった・・・僕はあまり飲む方じゃないんだ。
だが父は寝ないで僕を待っていた。父は言った『お前はサッカー選手になりたくないのか?』と。
僕はなりたいと言ったし、友達に誘われたということも言った。あと他にも何か言おうとしたんだけど、父の冷静な態度が印象深くて・・・。僕は彼がもっと怒り狂うと予想していたんだ。この過ちから学び、そして二度と繰り返しはしなかった」


(つづく)


ベルボが敬愛する偉大なイバンパパ、彼はどんな人なんでしょう。



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ロゴ入りジャージとクッションに、父の溢れんばかりの息子への愛を感じます。いやマジで。
ちなみに、ベルボがレバークーゼンにいた当時、パパはこんな風に答えています。

なんかもう全てにおいて、「ドイツに渡った息子をどうかひとつ宜しくお願いします」って感じがして・・・(深読みしすぎ?)胸を打たれるのです。

*1:金まみれなプレミアの現状への皮肉をかますところ、イギリス!って感じですね。いやホント同感ですマダム。